あの日、ジェシーは松村北斗のキスシーンの夢を見たか。
これはジャニヲタではない私がSixTONESと再会した実話です。
2021年1月上旬
TLにジャニヲタさんは存在しないのに
「うやむや」のMVのリンクを貼ったツイートは覚えてるだけで3件流れてきた。
SixTONESさん(以下敬称略)の名前は実は知っていたけれど、CDを出したことはまだ知らなかった。検索すれば2020年の1月にCDデビューしていて、それを知ったのが約一年後だった私は、その場で「え、おめでとう…」と呟いてしまった。リアルに。ツイートではなく。
私と彼らの出会いは6年前に遡る。
当時、入りたての職場が合わず即辞めて暇していた私に、小さい頃から仲良かった従姉妹から来たLINEは、車を出して欲しいと甘え全開。
平日の昼間、彼女の兄も姉も両親も仕事をしている時間、家は決して近所とは言いがたいけれど、車で行けばすぐの距離、そこに暇している自分。
何もしていない罪悪感もあり、何も考えずにいいよと返した。
金曜の放課後と、土曜日終日。
金曜はわかるけど、土曜も私?と聞き返す前に
目的を告げる彼女。
ジャニーズJr.の撮影見に行きたい
なるほど、受験生の彼女、家族には頼みにくいねと理解。それが私とSixTONESの出会いのきっかけだった。
当時私のジャニーズについての知識はおそらく人並みで、従姉妹…(あーちゃん(仮)としよう)と遊ぶ時、よく車で彼女のiPhoneで聞かされていたのは「嵐のアルバム(あーちゃん談)」だった。
それくらいの距離感。
ジャニーズJr.という存在もあーちゃん解説で理解してたけど、私とは多分無縁の人で名前も顔も知らないだろうから、行けばあーちゃんがいつものように教えてくれるだろうと思っていた。
はじめましての2015年5月22日(金)
高校近くで拾ったあーちゃんは、後部座席で制服から持ってきた服に着替えてメイクまではじめていて、すっぴんで来た私はモブはモブらしくすっぴんのまま、彼女に言われるがままに目的地を目指した。
コンビニの駐車場に止めると、勝手に走っていく彼女を追う。
天気の悪いビーチに、ジャニヲタさんらしい先客が数人と、距離をおいて大人に囲まれる若い男女が数人。
土地柄(沖縄住み)、撮影はよく見かけるので、その男女の中の男子があーちゃんが「見たい人」なのはわかった。
東京に住んでいた小学生の頃には撮影なんか一度も見た記憶は無く、こっちに来てからも「ジャニーズ」の人は見たことがなかった私は、静かにテンション上がってるあーちゃんつられて少なからず興奮してしまった。
「あれがジェシー、あっちがじゅったん…田中樹」
指差して教えてくれて、最初の気づき。
もしかして「Rの法則」のジェシーとじゅり、じゃない?
名前と顔からして、ご飯の時間によく弟が好んで見てる番組に出てる人だった。(当時Eテレでやってた番組)
突然のお得感、知ってる芸能人見た!感。
あの2人知ってる。というとあーちゃんがすごく嬉しそうにカッコよくない?じゅったん!と言う。
うんうんと同意しつつ、実は3次元の男の人には興味なかったから興奮と素の間くらいの感情で「芸能人だージャニーズだー」以上の気持ちはなかった。
「あとあっちの1人離れてる人がほっくん」プールの柱の影にいるのを指差して教えてくれたけど、正直全然見えない、でも、「ほっくん」は初耳の名前だ。
Rの法則出てるか聞いたら、出てないと思う。と曖昧な返事。もしかしてRの法則のことはあーちゃんより私の方が詳しいかもと思いつつ、しばらく見守る。
そのうちほっくん…松村北斗さんが顔が見える場所に移動してきて、松村北斗さん初見。
褐色肌で細い目、でも髪はもっさり感。
ちょっと地味な印象、漂う陰キャ感。(当時隠キャって言葉あったかはわかんないけど、暗そうってイメージ)
3人どの人がいい?とあーちゃんに聞かれて、じゅり?って一応答える、あーちゃんの推しみたいだったから。私の解答は正解で、あーちゃんが嬉しそうに、だよね!と喜んでいたからよかった。
そこからはただ見てるだけの時間。
映画の撮影とあーちゃんが説明してくれた。
その辺に機材と一緒に置いてあった台本の表紙に「ラズベリーボーイ(仮)」というタイトルを見つけて、内容わかんないタイトルだね…なんて話もした。
映画の撮影ってこんなに時間かかるんだなあと思いながらだらだらと見学。
プールの水をジェシーにかけて笑ってるじゅり。
たまに日陰にしゃがんでスマホでゲームしてるジェシー。多分パズドラ的なやつ。
ジェシーが何してるのか定期的に見に来て確認して黙って去っていくお兄ちゃんみたいな松村北斗さん。
かと思えば1人でプールの水を足でパシャパシャしてる松村北斗さん。
ファンなら見てるだけで嬉しい時間なのかもしれないけど、私にとって「お得に見れたジャニーズ」に慣れてしまえば、ただの男子観察で、面白いことも起こらないし好きになるようなこともなかなか起こらない。
でも、
あーちゃんいつまで見るのかなあ…と退屈してたところに、私の心を揺さぶる事件が起きてしまったのです。
その事件に名前をつけるとしたら
「バナナボート事件」
まんまだけど、いまだにバナナボートを見かけると鮮明に思い出すくらい私には衝撃的な事件だった。
事件は勿論、撮影の空き時間に起きた。
撮影に使うために持ってこられたっぽいバナナボートに、バイクに乗るみたいにじゅりが跨って、ちょっと跳ねだした。
やだ、えろいね
最初は語尾に笑がつくくらいの気持ちで漠然と思ったけど、そのうちじゅりがバナナボートを両手で掴んで腰を振り出した。
当時、19年生きてて、生で第三者目線で、誰かのそういうことしてるとこに遭遇したことがなくて、多分顔、真っ赤だったと思う。
真似だけどすごくリアルすぎて。
バナナボートって穴あいてたかな…って思うくらい綺麗に斜め前下方向に腰を振ってるじゅり。
わあ、わあ、って思った。
顔が急にカッコよくて、眉間にシワはいってて、ガツガツと。
本当、真剣にエロくて、三次元なのにさー、、かっこよかった。。
あーちゃんも黙っちゃって、わかる、この気まずさ、話せないよね。
やっとじゅりがバナナボート降りたら、今度は松村北斗さん(以下北斗さんにする)。
あの褐色肌の細目がさっきのじゅりと同じことするの?
私だいぶ期待値高めになってることに気づいてちょっとパニック。
そう、三次元だから結びつかないと思ってたけど、元々褐色キャラは性癖なんですよ。。
ところが、
ところが。
さっきは穴が空いてる?と思ってたバナナボート、
今度は何かついてる?に変わってしまうことになった。
北斗さんはバナナボートにまたがって、
上下に揺れ出したんです。
そして、事件は起きた…。突然に。
いや、ちょっとわかってた、気づきつつあった。
隠キャだと、暗そうだと、愛想なさそうだと思っていた北斗さんが、さっきすごく可愛い声で
「あんあんてい!」
って言ってた瞬間の気付きは確信に変わった。
バナナボートにまたがって、両手をバナナボートについて、彼はこんなことを言い出した。
「あん!あん!下から、そん、なん、され、たら…!」
あんあんていは安安亭で、焼肉屋の話です。
ではこれは?このあん、あんは?何屋の話です?
さっきのかっこよすぎえろすぎじゅりがいわゆるセイジョウなら、北斗さんはキジョウだった。
凹だったバナナボートは凸になった。
雷です。気付き。
え、やば、急な興味。
沸くに決まってますよね。
あーちゃんは今度は爆笑してるけど、私は今度の方が笑えない。
じゅりはもう離れてて、ジェシーだけなんか困った顔して北斗さんのそばに立って遠くを見てる。
なかなかシュールな場面。
「ほっくんてもっとなんかかっこいい系かと思ってた」
あーちゃんのリアル呟きに、いや、絶対違うよねあの人。って思って、
絶対可愛い系だよ、あの人。って。
そこからはもう北斗さんしか見てなかったと思う。
勿論この日、帰って「松村北斗」検索しました。
近すぎる再会2015年5月23日(土)
昨日は勝手に見学だったけど、この日はあーちゃんが登録してるタレントスクールからエキストラ参加という正当なポジションで撮影に参加。
エキストラと言っても座ってるだけの超モブだから!って説明受けて昼前くらいに指定場所に行くと、もう全然始まってて、ちょっとがっかり。
どうせなら最初から見てたかったな、とは言わなかったけど思った。
勿論エキストラなんて初体験で、自分とは無縁のことだと思ってたからずっとドキドキしてた。
役割は競技場のスタンドに座って駅伝を見てる観客。
ほんとに見てればいいだけの簡単なお仕事。
でも昨日よりずっと遠くて、あーちゃんに
「もっと前行かないの?」と言ってしまった。
競技場は雨が降ったりやんだり。実はこの日台風が近づいていて、天気は良いとは言えなくて
見ている間も何度も撮影が中断してる感じだった。
北斗さんはというと、台風の影響の強風が吹くたびに
風に向かって
「がぜのながのずうばるうう」って怒鳴るみたいに歌ってたり
トラックの端の細いレールみたいなとこを小学生みたいに歩いて風に勝とうとしたりしてて
まあ、順調に、きゅんです。
きゅんだったんだけど。。
レールの上を歩く遊びをしてる北斗さんが強風に煽られてよろけると
飛んできて抱き止めるジェシー。
いや、イケメンだから、きゅんていうかぎゅん!だから。
なんとなく3人の関係性を把握。
2人のイケメンと守られ体質の北斗さん、だ。
じゅりはエキストラの子供たちと遊んであげたりしてて、普通にいけめん。かっこいい、あーちゃんがもう完全に昨日より夢中になってる。
でもジェシーはずっと眠そうで、特に誰とも絡まない、たまにじゅりと話したりしてる
なのに、北斗さんの危機には駆けつけて助けてる。
何、少女漫画か!
座りっぱなしの半日、そんなこと考えながら3人をみてた。
そんな楽しいけど退屈なこの日にも、漏れなく事件が起きてしまった。
その事件に名前をつけるとしたら。
「松村北斗針金ハンガー事件」
バナナボート事件と違って概要が見えにくいかもしれないけど、いまだに針金ハンガーを見ると思い出すからこの名前にした。
※ちなみに針金ハンガーは一本も出てきません。
陽も落ちてきて、きっともうすぐ終わるんだろうな。。って少ししんみりしてきた時間帯、その事件は起きた。
シーンは駅伝のゴールの場面っぽい。
「早くゴールしろ!」という謎の野次を命じられ、そこそこに頑張ってスタンドのみんなで野次を飛ばしたりもした。
ゴール付近にジェシーと1人の女子、
後の映画公開時に、この人は竹富聖花さんという女優さんで、ヒロインだと知ったけど、当時の私たちは知るよしもなく、夕方に急に現れたからそんなに重要な役とは思わずに見ていた。
急に現れたのに、どうやら突然の
ジェシーとのキスシーン。
えー、ジャニヲタの皆さん、息してますか?
怖くて周りを見れないけど、やだって感じの声も聞かない。
あーちゃんに、ファンの人怒ったりしないかな、って聞いてみたら「ジェシーのファンいなそう」という慈悲の欠片もないあーちゃん。
どうやらその場にいたジャニヲタのみなさんの9割はじゅりを見にきてる!とはあーちゃん分析による、、だった。
それなら、まあ、いっか。
とりあえず一安心。
だって、いきなり生で推しのキスシーンつらくない?
私は嫌だよ、全然見たくない。
映画はそのうち公開されるだろうけど、生で突然はキツいと思った。
全国には結構存在するはずのジェシー推しの皆さん、公開の時は頑張ってください。。
そう他人事に願いながら見守ってると、
今日最大の、気付き。
おかしな動きの人、発見。
本日の様子がおかしい大賞はあなたです。
松村北斗さん。(888888888888)
リハーサルしてるのか、大人に囲まれながら何度も女優さんと顔の角度を合わせて、キスしてる(※実際はしてないと思われる)ジェシーを、駅伝チーム?と思われる数人でトラック外で並んで見てるという演技をしてる中にいるはずの松村北斗さん。
ジェシーと女優さんの顔が近づくと、それと同じスピードで、北斗さんの頭がくいーっと全く違う方向に向いてることに気づいた、、
小学生のとき誰でもみんなやったことあると思う。
針金ハンガーを頭にかぶったら頭が横向くっていうやつ。
まさに、その動き。
ジェシーと女優さんの顔が近づく。
北斗さんの顔が横向く。
この流れが、5度くらい。
結局北斗さんは一度もジェシーと女優さんのキスシーンを見なかった。
見なかった。。?
見れなかった??
と、思った瞬間、私の心の針は振り切れましたよ。
きゅんじゃないよ
ギュインギュインギュインガガガガ!!!って感じだった。
北斗さんはジェシーのキスシーンを見れなかったのだ。
理由はわからないけど。
6年も前のこの事件を、何故今に掘り起こしたか。
当時Twitterで興奮の最中勢いのままに書きたかったけど、公開までは他言無用みたいな紙にサインもしたし、ジャニー◯って怖いと聞くし、そもそもジャニヲタじゃないのに書いてもな。という気持ちだったから、自分の日記にだけ書いて放置してたんだけど、
6年経って、「うやむや」のMVに出会い、あれからしばらくの間はたまに目の端には留めていたジェシー、じゅり、北斗さんが、今凄く活躍してる事を知り、バ先の男子と「ライアー×ライアー」の映画を観に行って、
最後のシーンを見て、思い出したんです。
そして、思った。
えも言われぬ感情ってこういうのなんだなって実感した。
検索してみたら、ライアー×ライアーを見た後、ジェシーが北斗さんに感想を言った話を北斗さんが何度もしてることを知って、観た後だけじゃなく、その日帰って夜遅くにも映画の良さを伝えてきたという現実を知ったわけです。
私はファンじゃないから、あの時の映画、のちに改題されて公開された「バニラボーイ」を観たっきり、
うやむやで再会するまでのSixTONESの活動はほとんどみてなくて、もしかしたらその間にも北斗さんやジェシーはお互いのキスシーンを見たりみられたりしてるのかもしれないけど、
私の中ではあの針金ハンガー事件と、今回のライアー×ライアーまでの空白期間はただ真っ白で、
つい、この2つの出来事を結びつけたくなってしまったのでした。
夜遅くに感想を北斗さんに送ってきたジェシーは、
あの夜、松村北斗の夢を見ただろうか。
もしいつか沖縄に彼らが来たら、そして奇跡的に遭遇したら、その一つだけを聞いてみたいです。
色々検索してみたけど、このバナナボート事件と針金ハンガー事件のことを書いてる人が見つけられなかったので、書いてみました。
ちなみに、針金ハンガー松村北斗さんは、そのあと、倒れて気を失ってるシーンを撮るために寝転んで目をつぶってスタンバイしてるジェシーに一人で近づいて、屈んで限界まで顔を近づけて、を何度も繰り返していて、なんでジェシーにキスしようとしてるんだろう。と思ってたけど
そのあとあの映画を観て理解しました。
バカフライエフェクトを起こしたかったんだなって、何が起きるかみたかったから、してみてほしかったな。
そんなわけで、私がSixTONESさんと再会した話の前編、のつもりだったんだけど、ここまで書いたら後編はそんなに語ることないなと気付いたので、ここで終わっておきます。
これからも北斗さん、ジェシー、じゅりの人生に幸あることを願いつつ。
うやむやがよすぎてライアー×ライアーも観に行った私が見た「あの日の松村北斗の全て」でした。
「うやむや」も「ライアー×ライアー」もいいぞ!